7時19分による文章の類
by 7時19分
銀杏と銀杏
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「銀杏をさ、最初に食べようと思った人ってすごいよね」

 近所の公園で、僕らはブランコに座って、ぼんやりと揺れていた。
 すぐ近くにイチョウの木が並んでいて、なんとも言えない香りが辺りを漂っている。おかげで夕方まえだというのに人っ子ひとり寄り付かない。
 理央はどうだか分からないけれど、僕はこの匂い(臭い?)が嫌いではなかった。なぜだか小さい頃を思い出しては懐かしい気持ちにさせる。

「よっぽどお腹がすいてたんだろうな」

「そういう食べ物ってよくあるよね。ほら、たとえば、うにとか」

 彼女の苦手な食べ物が真っ先に挙がる。なんとなく想像通りなだけに可笑しい。

「いろんなものに当てはまるだろうね」

「ほかには?」

 そうだな。といいつつ僕は考えるふりをしながら、ブランコから立ち上がった。とくになにも思いつかないけれど、口が勝手に動き出す。

「ひとを最初に好きになったひとってすごいと思わない?」

「えー」

 そう?と彼女は不満げな表情で僕を見上げて、たしかにぱっと見、美味しそうではないけどねと付け足した。

「お、哲学的だね」

 彼女はにんまりしながら、たまにはいいこと言うでしょ、とブランコから降りた。

「ぎんなん拾うかい?」




#HOLGA135
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by mottohikariwo | 2009-01-25 20:48
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