7時19分による文章の類
by 7時19分
モニュメントのお話
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 考えようにも頭の中にはブラックホールみたいな得体の知れない掃除機みたいなものがあって、どんどん思考を吸い込んでいってしまう。考えよう、と思うことさえスポッと吸い込まれてしまい、僕の目はいつしか焦点を失い、いつの間にか遠くのほうを見ていた。それは見ていたのかさえ定かではない。

 目の前にあるモニュメントはひどく錆び付いていた。今いるこの公園自体寂れているのでよりひどく見える。モニュメントを横目に見ながら、うつろな思考はただ思うことの垂れ流しを行う。人も錆びていき、いずれは死に行くのだ。そういったなんのことはない軽薄なことをつらつらと垂れ流す。

 垂れ流すことなんていくらでもあるのだ。ただ単に感動し、わざわざ涙を流したくて映画を見に行くように、僕はこの公園のモニュメントを目の前にして、くだらないことの垂れ流しを行いたくて散歩に来た。それだけだ。

 しかし、本心かどうかなんて僕には知る由もない。もしかしたら、本心は誰かに会いたがっているのかもしれない。誰かとお喋りしたいのかもしれない。外人に話しかけられてもいいのかもしれない。What's up?(最近どう) なんて話しかけられたら今の僕なら気軽に答えられるかも知れない。でもたぶん答えはSame old.(いつもどおりだよ)とかNot much.(いや、べつに)なんていうツマンナイ返ししか出来ないだろう。嬉しいにもかかわらず。

 そう、たぶん嬉しい。僕はおしゃべりが好きだから。

 誰かに気にしてもらえるって嬉しいことだよ。話しかけてきてくれるのも。

 それらが億劫になってしまうのは、自分自身が寂れてしまっていっているからだと、なんとなく思う。寂れていって、この公園のモニュメントみたいに錆び付いていって、誰からも見向きもされず、そうして消えてしまうんだ。存在も、記憶も。それが嫌だから、自分というモニュメントをみんな磨いている。ピカピカにして、他の誰かに気にしてもらいたいって心の奥なんかで思っている。

 ただそこにあるだけでいいのに。どうしてあるだけで満足できないんだろうね。
 目の前の錆び付いたモニュメントは何も答えてくれなかった。




#HOLGA135
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by mottohikariwo | 2009-03-15 23:07
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