7時19分による文章の類
by 7時19分
純白なこころとからだ
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 とまらない。それは涙でもなく、走ることでもなく、ましてやロマンティックなんかでもない。深い溜息が、だ。
 
 早朝のベランダからの眺めは白一色に近かった。空気を止めているかのように朝もやが辺り一面を覆っていた。火照った体を冷ますためにベランダに足を放り投げ、下着姿のままたばこを吸っていた。吐き出す煙と朝もやとが一緒くたになって渦を巻いているように見えた。その渦はまもなく僕のため息によって形をなくして消えていく。無性に虚しさがこみ上げてきた。

 部屋の奥で服の擦れ合う音がした。彼女も目を覚ましたのだろう。たばこの火を消し部屋に戻ると、彼女はさっきまでの何も身につけていない状態が嘘だったかのようにこぎれいに服を着ていた。玄関までくると彼女は遠慮がちに言った。

「これから、バイトあるんで、帰ります。ありがとうございました」

 彼女は僕が無言で頷いたのを確認すると、静かにドアを閉めた。ドアの向こうで彼女の靴の音が遠ざかるのが聞こえた。

 彼女が彼女だったらどれほどこの気持ちが楽になるのかと思う。僕は彼女と付き合うつもりなんてさらさらないくせに抱いてしまった。僕は優しすぎたのだ。以前から好意を抱かれていたのは知っていた。告白も受けた。しかし断った。そしてしばらく経った昨日、相談に乗ってほしいと言われ、彼女が家に訪れた。思えばここで、外で会っておくべきだった。他にも後悔する点がありすぎて困る。話の流れで、しかたなしに泊めたら夜這いされるなんて思ってもみなかった。

 彼女以外の女性を抱くのは後味が悪い。たとえ付き合っている彼女がいなかったとしてもだ。女性を体だけと思っていた昔の自分を思い出してしまう。うんざりだ、自分という人間も、男という生き物も。

 ため息をため息と思うことにもうんざりし始めてきていて、またたばこに火をつけた。


#HOLGA135
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by mottohikariwo | 2009-05-10 01:19
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